MMTEC Brand Story

エンジニアリングはロマンである

プラントメンテナンス

宙をわたる巨大ダクト

工期はわずか10日間、失敗は許されない

3,000件の工事を3日で完遂せよ!

 工場をメンテナンスする際には、すでに設備が入っているため工事スペースがないという場合がある。しかも、設備の操業停止期間内に終えなければならないという時間的な制約つきだ。ある工場の新しい煙突にダクトを敷設したときの話をしよう。ダクトの大きさは直径4mと巨大。160tクレーンでダクトを吊って運ぶ必要があったが、スペース上、入ることができない。工事期間はわずか10日間。さあどうする?

案1:古いダクトを運搬が容易な大きさに細かく切断して撤去する。新しいダクトはその逆の考え方で、細かいパーツの状態で運び、現場で敷設しつなげていく。

案2:まずは古いダクトの真上に新しいダクトを仮置きする。煙突の操業がストップしたら、古いダクトを切断して真下に降ろし、真上に仮置きした新しいダクトを設置位置へと降ろしてくる。

 案1では時間がかかりすぎる。案2は費用が膨大にかかり、かつ新しいダクトを仮置きする場所の地盤が耐えられない可能性があった。当の工場長も頭を抱えていた。そんなとき、何とかする方法は無いものかと眺めていた私の頭にある考えが浮かんだ。――160tクレーンが近寄れないならば、煙突近くまで入ることのできる大きさのクレーンと合わせて2台のクレーンで、ダクトのリレーを行うのはどうだろうか?ダクトを仮置きするための仮設構台を既存の設備の上方に築き、そこをリレーの中継地点とするというのは……。
車体の大きさと通路や作業スペースの関係、クレーンの作業半径と重量の関係から、160tクレーンと50tクレーンの2台を使用するという考えだ。

 果たしてクレーンによる中継はうまくいくのだろうか?そもそもダクトの寸法はぴったり合うだろうか?敷設箇所の寸法を測定しては何度も確認し、撤去したダクトはどこに仮置きするかなど、机上と現場目視でシミュレーションをしつこいほど繰り返したが、それでも不安はつきなかった。仮設構台の設置にあたっても、複雑な強度計算が必要である。既存設備の位置を考慮して支柱を設置しながら、巨大なダクトを載せるために高さ約8m、広さ100㎡ほどの構台の強度を担保しなければならない。計算、計算、計算の毎日であった。そして、工期だ。どうすれば10日間で工事を完了させることができるのか。設備の停止期間前にやっておけることは何か。工程管理にも知恵を絞った。失敗すれば、仕切り直す時間はなく、必ず成功させなければならなかった。

 そうしていざ工事が始まると、念入りな準備のかいあって、ほぼ計画通りに進行した。ダクトが大きさに比して軽く、風にあおられクレーンが転倒するリスクを回避するため、強風だった1日のみ作業を中止した程度であった。

 水蒸気がダクトの中を通り煙突から放出された。30分ほどそれを観察し、漏れがないことを確認するまで、不安と緊張感は続いていた。その後、足場や仮設構台の解体が終わると、ようやくほっと安堵の気持ちに包まれた。お客様や会社の上司、先輩、協力会社の多くの方が一緒に悩んでくれて、一人ではとても成し遂げられなかった。すべての関係者に感謝したい。

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