MMTEC Brand Story

エンジニアリングはロマンである

エンジニアリング

チームで挑んだ
前例のないプラント建設

困難の連続、比類なき充実感

3,000件の工事を3日で完遂せよ!

 新しい分野のプラント建設がまたスタートした。この設備で製造される製品は非常に特殊で、発注者であるお客様が国内唯一の製造企業なのである。しかも危険物を多種扱う化学メーカーだ。契約時、プロジェクトマネージャーとなった私は「このプラントについてわれわれは未経験に等しいです。良いプラントを作るために、ぜひお互いに知識を出し合いながら進めさせてください」とお客様に申し出たものである。

 一般的に、ゼロの状況から何かを生み出すという場合、最も難しく感じるのはおそらく最初の部分、どんなものをつくるのか、どうすればできるのかを概念化するところだろう。プラントの設計に関してもやはりそうで、最初の基本設計が重要だ。このプラントにおいては、まず製造する物のイメージをつかむところから始めることとなった。設計を始めるにあたり、担当者たちは設備の全容を適切に理解するために多くの資料と格闘しなければならなかった。

 製品ができあがるまでのフローの作成、機器や装置の選定、建屋や機器配置など多くの設計図書の作成が必要だ。さらに設備に必要な法的措置を洗い出し、盛り込んでいく。消防本部に何度、問い合わせや相談に通っただろうか。危険物の漏洩対策、発生するガスへの対処、火災報知器、スプリンクラーなど、法的に必要な措置は当然のこと。危険物の種類も複数にわたるため、対策もそれに応じて検討しなければならない。万が一のことが起きれば、大災害につながるため、しかるべき対応を的確に重ねていった。

 さらにこの案件を難しくしたことは、製造される製品が1種類ではないということだ。同一の製造ラインで、6種も7種もの製品を作るマルチプラントである。非常に複雑なシステムで汎用性のある設備に仕上げなければならない。装置の仕様を決めるのはお客様であったが、機器や装置の選定ひとつにも膨大な比較検討を行い、お客様と装置メーカーとの間に私たちも同席し、一緒に考えた。多様なニーズに応えられなければならなかった。失敗のリスクもお客様とともに覚悟し、一件一件、最良な決断をしていった。こうしてお客様と手を携えて設計段階から進めていったことが良かったとのメールを後に受け取ることになるとは、当時は知る由もなかった。

 この案件では、基本設計、装置選定に加え、特にデザインも重要であった。当然ながら設備としての機能を満たしていれば良しとはいかない。メンテナンス時のスペースや運転員の導線も考慮し、機械、電気、建築のすべての面から総合的にレイアウトすることが求められる。この設備は、建屋のサイズに対し機械、電気の設備数が非常に多いうえ、将来の設備導入を考慮したスペースも必要であった。そのため建屋内部のデザインは複雑さを極めた。机上で考えたデザインが、現場で見てみると期待通りにはいかないこともある。若手の担当者にはよく、自ら設計したものは必ず現場に出向き確認するよう伝えているが、まさにその経験が試される案件であった。

 「新規のプラント建設の成否を決めるのは設計だ」という気概を持って、日々仕事に向き合っている。未知の分野への取り組み、複雑なシステムへの対応や多くの安全対策、ほかにもさまざまな困難があったが、こうしてお客様とともにチーム一丸となって1年がかりで設計を終えた。さあここから、ようやく建設工事本番だ。

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