MMTEC Brand Story

エンジニアリングはロマンである

産業機械・装置

あきらめない、
ものづくり

一品一様、エンジニアたちの奮闘劇

 長岡製作所では、一品一様のものづくりも行っている。それは生みの苦しみをともなう、一期一会のものづくりなのである。

 とある小さなガラス管を整列させてハンドリングする装置を開発したことがあった。手作業で行われていたが自動化したいということだった。ガラス管の直径は2~3mm、長さが10mmほどで、ロボットのハンドでは人の手のようにそっと管をつまんだり、ケースに並べたりすることは難しく、ガラス管が壊れてしまう。それでは、真空の圧力を利用した吸着パッドはどうだろうか。これもやはり、パッドに吸着させる際に少し押しつける必要があり、それだけでガラス管が割れてしまう可能性がある。また、移送中に脱落したり、ソフトにリリースすることができず破損させたりするリスクが容易に考えられた。

 良い案が見つからずに皆が悩んでいる中、定例の事務所内清掃をしていた私はひらめいた。――そう、手にしている掃除機である。

 すぐに実験を開始した。掃除機に装着した細いノズルの先に、もっと細いノズルヘッドを段ボールで作り、ガムテープでぐるぐる巻きにして固定した。小さなガラス管が吸い込まれてしまわないようにするためである。空気が通るように段ボールを2重3重にして、先端部は山型のギザギザの形状に切っておき、ガラス管がその溝にうまくはまるようにした。電源スイッチを入れてみると、なんと、うまく吸えたのだ。

 本格的な試作に取り組んだ。掃除機の先の風速を計測してデータを取り計算する。段ボールのノズルではなく、アルミの削り出しの部品を職人さんにつくってもらう。掃除機部分は、実際に必要となる風量を確保できる産業用ブロアーを用意した。テストもうまくいき、実機を製作して無事に納めることができた。

 しかし、このようにとんとん拍子にことが進む案件ばかりではない。例えば古い機械の改造案件は、苦労することが多い。相対する機械が古いほど、図面などが残されておらず、条件が分からない。新しい装置の製作に取りかかる前にまず、機械の内部を調べてみて、仕組みなどを知ることから始めなければならないからだ。

 ある工場での自動化案件の場合、古い機械の一部にズレが生じていたが、作業者は無意識に手の角度などを調整していたため、そのことに気がついていなかった。ところが、この作業を自動化する場合、ズレは大きな問題となる。

 行き詰まったのは、搬送コンベアから流れてきた物を受け取り、移動させて古い機械にセットするという作業だった。古い機械側の2本の軸受けに物をセットする。人の場合、難なくセットすることができたのだが、新たに設計した機械のハンドには、うまくできない。なぜだ。

 原因を調べていくと、古い機械の互いに向き合ってついている2本の軸受けの位置がズレていることが分かった。計測すると、ほんの5~6㎜の差で互い違いになっていた。人間にとっては気づかないほどの差異であっても、機械のハンドは融通が利かず対応できない。このケースでは、納入後にも定期的にメンテナンスに通い、古い機械の調整を続けた。このような対応によって古い機械を使い続けることができ、また新たなニーズに応えることもできるのだ。

 

 一品一様、オーダーメイドのものづくり。機械により自動化する対象も、自動化を必要とする状況も、その都度異なる。長岡製作所では皆で頭をつきあわせて議論し、試作し、実験し、やり直す、試行錯誤の日々が繰り広げられている。

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